CAMILAG|上富良野の小麦畑で食べものづくり

はるゆたかのお話

はるゆたかのお話

「幻の小麦」といわれる品種、「はるゆたか」。なぜ「はるゆたか」は幻と呼ばれているのでしょう?
そしてなぜ、わたしたちが「はるゆたか」を作るようになったのか。そんな、はるゆたかのお話を。

「はるゆたか」のプロフィール

「はるゆたか(ハルユタカ)」は、小麦の品種です。小麦は秋に撒く秋撒き小麦と、春に撒く春巻き小麦があり、「はるゆたか」は春撒きの小麦です。日本国内で消費される小麦の大半は海外からの輸入品で、国産小麦はわずか12%程度。その12%の内、65%が北海道産です。その中で「はるゆたか」の生産量はわずか1%未満です。
その希少性が「幻の小麦」といわれる理由のひとつです。

「はるゆたか」のデビューは昭和60年頃でした。しかしデビュー当時の「はるゆたか」は麺向けの小麦として推奨されたため、色が悪いと大不評...。結局、しょうゆ原料になるという不本意な扱いを受けていたようです。

病気に弱くデリケート。農家泣かせのはるゆたか

デリケートで農家泣かせな小麦「はるゆたか」

秋撒き小麦に比べて春撒きの小麦は、圧倒的に収穫量が低い上に種も肥料も多く必要で、農家からみると「儲からない」小麦です。さらに「はるゆたか」は病気にも弱く雨にも弱いという、とてもデリケートな品種。
収穫時期に長雨が続くと、まずアミロ数値がどんどん落ちてゆきます(アミロ値とは小麦の中のでん粉の粘度を数値化したもの)さらに雨が続くと穂の中の実から芽が生えてしまいます。これは小麦粉どころか家畜のえさにもならない状況。農家にとって大きな打撃です。どんどん緑色の穂になっていく麦を放棄することもできません。そこで無理をして収穫するとコンバイン(農機)の中は芽の出た麦でベトベトになり、今度は機械が詰まって壊れ、排出もできないという最悪の事態を引き起こします。これが2年も続けば、どこの農家も「はるゆたか」を作らなくなって当然です。

自分の小麦をパンにして食べてみたい

小麦は収穫してそのまま食べられる作物とは違い、製粉してはじめて小麦粉になります。恥ずかしながら以前のわたしたちは自分たちでつくった小麦を食べたことがありませんでした。
ある人に「はるゆたかをパンにするとめちゃくちゃおいしいよ」というお話を聞き、「自分の小麦をパンにして食べてみたい。」と思うようになりました。小麦農家として小麦を作っていても製粉技術がないため「自分の小麦はおいしいんだろうか?」という疑問がわいたのです。
「それなら製粉して食べてみよう。どうせなら幻の小麦はるゆたかを!」と。これが、わたしたちが再び「はるゆたか」を作るようになったはじまりです。

自分の「はるゆたか」で焼いたパンに、感動の涙

はじめて食べた「オラが畑のパン」

そうして再開した「はるゆたか」づくり。収穫した「はるゆたか」を粉にするにあたって、道内の製粉業者さんのお力添えをいただき、ついに自分たちでつくった「はるゆたか100%」の小麦粉が。自分の小麦の品質が悪ければ粉にしても意味がない。農家としてはじめて消費者を強く意識した瞬間でした。
そしてごく普通の家庭用のホームベーカリーを使い、その小麦粉でパンを焼いてみました。香ばしくただよう良い香り...なんとか上手に焼けました。 パクリ。

「...!! おいしい...!...うぅっ...」感動の涙でした。

幻の小麦「はるゆたか」の実力

小麦にはたんぱく質が含まれています。このたんぱく質に水を加えてこねるとグルテンができます。このグルテンがパンや麺にしたときのもちもち感の素になります。
「はるゆたか」は、国産品種の中でも高たんぱくの強力系品種で、たんぱく質が豊富。香りが立って、香ばしさの中に甘さもある「はるゆたか」は、パンづくりはもちろん、麺にしてもとてもおいしい小麦なのです。

「はるゆたか」がうみだすもっちり食感は他の品種とはまるで違います。わたしたちは「はるゆたか」のおいしさに惚れ込んでいます。

「はるゆたか」、そして「上富良野」とともに

小麦の出来をワインのように楽しんで

CAMIFLAGの商品は、北海道の上富良野でわたしたちが育てた「はるゆたか」のみを使って製粉した強力粉で作っています。同じ畑で作った小麦でも、場所によって風味が違い、年度ごとに成分のばらつきもあります。その違いをワインの出来と同じような感覚で楽しんでいただけたら嬉しく思います。
もし上富良野に来ることがあったなら、この「はるゆたかのお話」を思い出しながら道路沿いの畑を眺めてみてください。もしかしたら、わたしたちの畑かもしれません。

おいしい風に、この旗はなびく。
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